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VOCALOID 5で米津玄師の「ドーナツホール」をカバーしてみた
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VOCALOID 5で米津玄師の「ドーナツホール」をカバーしてみた

今回は2018年に200万ダウンロードを超える大ヒットとなったLemonの作曲者である米津玄師がボカロP、ハチ名義でリリースした「ドーナツホール」をVOCALOID 5でカバーしてみたいと思います。

これまでVOCALOID 5の標準付属ライブラリであるKaori、Amy、Chrisと3つのライブラリを使用してきましたが、今回は4つ目の付属ライブラリであるKenを使用して男性ボーカルバージョンとして作成してみました。

ハイテンポなロック

「ドーナツホール」はアップテンポなロックナンバーです。

原曲はVOCALOID GUMI(メグッポイド)が歌っています。

独特でキャッチーなメロディラインが印象的でカラオケや歌ってみたでも大人気の楽曲となっています。

勢いを感じる曲ですが、原曲のボーカロイド歌唱はフラットな歌い方で、ボーカロイドらしい使い方と楽曲の不思議な魅力を醸し出しています。

米津玄師名義のアルバム「YANKEE」には本人によるボーカルバージョンも収録されています。

今回は男性ボーカルのKenを使うので、どちらかと言えば本人歌唱のバージョンに近づくかもしれません。

まずはざっくりと入力、しかし……

「ドーナツホール」はpiaproにオフボーカル音源が公開されています。

ボーカロイド関連のオフボーカル音源は、ニコニコ動画のニコニココモンズやpiaproに公開されているものを使わせてもらいましょう。

好きな曲や有名な曲を打ち込んでみるだけでも、使い方の練習になります。

DAWに音源を読み込んで、まずは旋律を聴いた通りに打ち込んでいきます。

歌詞を音符に順次当てはめつつ、再生して確認をしながら作業を進めますが、今回はここで問題が……。

標準の状態でうまく歌ってしまって、手を入れなくてもいいんじゃないの?という状況になってしまいました。

「普通に入力すれば奇麗に歌ってくれます」だけでは何の説明にもならないので、重箱の隅をつつきに行ってみたいと思いますが、VOCALOID 5はいい音源だなあ、と改めて感じました。

気になる方は調整したvprファイルを配布しようと思いますので、読み込ませて試してみてください。

はじめてVOCALOID 5を使う方はぜひベタ打ちからスタートして、気になるポイントにAttack・Releseエフェクトを使用する入力からはじめてみてください。

簡単な所からはじめて、コツをつかんでから細かい所を調整していく方が基本となる調整の勘どころをつかみやすくなると思います。

アクセントやサビの強調

前回・前々回の作成でも使用しましたがExciterでアクセントをつけていきます。

持ち上げる場所と下げる場所の勘どころとしては拍の頭、歌い出しなどのアクセントを上げて「む」や「ん」などの音は下げる方向の調整をすると日本語の緩急に比較的簡単に近づけられます。

アクセントと合わせて歯切れの良さをつけたい時はVelocityを上げて、それでも歯切れの良さが出ない時は音符の長さを少し削るとスピード感が出たりします。

短くしすぎると促音(っ)になってしまいます。

「ドーナツホール」のようにテンポが速い曲の場合、大胆にパラメータを触らないとはっきりしない変化になってしまうので、聴いて変化を確認しながら丁寧に調整をおこなってみてください。

Attack・Releseエフェクトの使いどころ

AttackエフェクトとReleseエフェクトは簡単に音符に表情をつけてくれますが、大きな問題として「接続が悪い」ことが挙げられます。

とくに、Attackエフェクトは短い範囲に連続して適用するとブツブツという音の途切れが発生してしまうことがあります。

これはAttack・Releseエフェクトが前後の音のつながりの一部を破壊してでも、アクセントやスタッカートをつける効果を出してしまうためで、前の音符のAttack・Releseエフェクトに重なる形で次の音のAttack・Releseエフェクトが掛かるような使い方は避ける必要があります。

今回の曲中でもAttackエフェクトはアクセント部分やしゃくり上げの音に使用しています。

前後の音に気を付けて、エモーションツールでエフェクトの効果を調整しながら確認しています。

扱いやすく効果がはっきりわかるのはAttackのUpとDouble Accent等です。

クレシェンドなどは扱いが難しく、ReleseのビブラートもNormal以外を狙った効果で使用するのは難しい感じですが、バチっとハマれば非常にいい気がします。

基本的には拍頭のアクセントとビブラートの補完が使いどころとしては扱いやすいのではないかと思います。

また、フレーズライブラリのデータを取り込んで使い方を参考にしていくのもいいと思います。

前回のHonestyでもフレーズサンプルを使用して歌唱させた部分がありますので、よろしければそちらもご参照ください。

できるだけ簡単にを目指したVOCALOID 5

打ち込みの作業は丁寧にやればやるほど、結果が良くなります。

VOCALOID4まではどれだけ丁寧に作るかが結果に大きく影響しました。

通常の音源と異なり、ボーカル音源は入力系の癖が強く、またパラメーターも通常の音源とは異なる発想で考えないと思うような結果が出ないことも多いため、どうしても扱いにくさを感じてしまいがちだと思います。

一方でVOCALOID 5ではインターフェイスからライブラリ、パラメーターなど丸ごとすべてを更新するほどの大型バージョンアップになりました。

パラメーターの癖は仕方ない面がありますが、ベタ打ちの出力結果や自然な変化や音符に対する歌唱の指示をAttack・Releseエフェクトとして与えられたりと、すべての面でユーザーが簡単にイメージした歌を歌わせられるようにという改善があります。

簡単にできることはより簡単に、難しかったこともそこそこの手間でできるようになり、さらにボイスライブラリの品質がついてくれば驚くほどの歌声を聴かせてくれる、使う楽しさを感じさせてくれるよい道具だと思います。

基本ライブラリだけでも十分に楽しい

今回で標準付属の4つのライブラリすべてを使用したことになります。

結果はいかがでしたか?

一回りしてみて分かったこと、使い方のコツなどもあるので、最初に作ったkaoriのさよならバイスタンダーを入力すればもっといい結果を出せると思います。

ほかの音源や楽器も同様ですが、使ってみて、繰り返してみて見えることはたくさんあります。

最初はベタ打ちからで構いません、まずはできる所から挑戦することがすべてのはじまりになります。

ぜひVOCALOID 5を使ってみてくださいね。

ライタープロフィール

みるくここあ

DTMer

みるくここあ

元IT技術者。

ウィンドシンセを使います。

VOCALOIDやCeVIOを使って曲を作ってみたり、ボーカルを迎えて曲を作ってみたりしています。

元々楽器の練習用にオケを作るだけだった半端なDTMerでしたがVOCALOIDに出会い、その変遷に付き合っていくうちに深みに嵌っていたただの音楽好きです。

VOCALOID 2 MegupoidとVOCALOID 3 IA、そしてCeVIO Creative StudioのONEを使用しています。

ウェブサイト:http://milkcocoa.org

Twitter:milkcocoa_org

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